万葉の梅園
深紅の梅に和菓子の伝統と技術を感じます
富山県富山市で1919年(大正8年)から続く老舗和菓子店『引網香月堂(ひきあみこうげつどう)』さんの作る『万葉の梅園』は梅をまるごと包み込んだ大福。日本最古の和歌集である『万葉集』にちなんだお菓子の名前は越中富山高岡で生まれたお菓子であることを強く印象付けます。
”うめぞの”とだけ筆書きで記され、淡い桃色にの和紙に包まれてちょこんと立たずむ姿は品があり、伝統的なお菓子という感じを醸し出しています。
包みを開けると背が高めの真っ白な大福。外側の求肥餅は中に入った梅をしっかりと包み込む厚さですが非常に柔らかく持ち上げると形が崩れてしまいそうなほど繊細です。
半分に割ってみると深紅の梅の実が出てきました。種ごと入っているのと求肥餅の柔らかさで半分に切るのにかなり苦戦しましたが、断面の鮮やかなコントラストが見れて満足。それにしても深い赤の梅の実がなんともシンボリックといいますか、このお菓子の品を際立たせているかのように感じます。
梅がみずみずしくジューシーです。蜜煮された梅と白いんげんで作られた白餡が非常に奥深い甘さを生み出しており、求肥と混ざり合って絶妙な美味しさ。越中銘菓らしい伝統と引網香月堂さんの和菓子作りの技術によって作られたこだわりの逸品ですね。歴史を感じる風格ある味わいでした。