軽羹饅頭(明石家)
超老舗の伝統菓子「薩摩の心」が宿る銘菓
鹿児島県の超老舗明石屋さんの『軽羹饅頭(かるかんまんじゅう)』を買ってきました。”カルカン”と聞くと個人的には即座に猫のエサの缶詰を思いついてしまいますが、それではなく、鹿児島には非常に歴史深い伝統的なお菓子”軽羹(かるかん)”があります。遡ること三百年ほど前、島津家二十代綱貴の五十歳の祝いの席に用いられたというのが、最も古い記録となっているとのことで、非常に由緒正しいお菓子です。
鹿児島県内には伝統的なお菓子である軽羹を作るお店はたくさんありますが、明石屋さんは極めて深い伝統を誇ります。創業はなんと1855年(安政元年)そんな明石屋さんの『軽羹饅頭』は中に小倉餡が入った丸いおまんじゅう。軽羹の生地をおまんじゅうにしてあるお菓子です。
開封してみると驚くほど白く、綺麗なおまんじゅうが現れました。感触もモチモチしていて、これが三百年前に既に存在したということに驚きを隠せません。
軽羹(かるかん)は原材料に自然薯(じねんじょ=山芋)をふんだんに使っており、空気をたっぷり含んで蒸されるため、ふんわりして、しっとりとしたスポンジのような食感が特徴。素朴な甘さの生地は普遍的な美味しさで、永く愛されてきたのが頷けます。
このように小豆餡が入っています。軽羹とあんこの組み合わせは間違いないコンビネーション。
あっさりとしたこしあんに軽羹のモチモチした生地。昔からあるお菓子ですが『昔の人もよく思い付いたもんだよな~』と感心してしまう完成度です。鹿児島の方で食べたことがない方は珍しいでしょうが、案外関東圏には知らない人も多いみたいです。ぜひ一度、鹿児島伝統の軽羹(かるかん)を食べてみてください。和菓子の伝統の深さに感銘を受けるはずです。